【蜘蛛 1−1】
「In the Buddha-land of Purity, there was a pond with a lot of lotus……」
ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを……
イギリス人教授の朗々とした声が、静かな大講義室に響いていた。
初夏の透き通った空気が広い教室を満たし、たくさんいる学生たちも落ち着いた様子で講義を聴いている。
総司はぼんやりとシャープペンシルを指で回しながら、見るとはなしに教科書を眺めていた。あてられた後ろの方の女子生徒のつっかえつっかえの訳が聞こえてくる。
「ある日のこと、お釈迦様は極楽の蓮池のふちを、一人で……のんびりと?……歩いて……」
『蜘蛛の糸』
有名な芥川の本だ。探す気になればどこにでも載っている。この教授は『自分の言葉で訳してくるように』という注文をつけていたが、バカ正直に本当に自分で訳してくるような学生は誰もいないと思っていた。もちろん総司は迷う事すらなくネットから全文打ち出している。
真面目、というよりは要領の悪い女子生徒に、総司はふとある女の子を思い出し、そんな自分に苦笑いをする。
気を取り直すようにしてシャープペンシルを持ち直し、総司は特に必要ではないその訳をノートの書きこんで行った。
教授の朗読が再び続く。
「When the Buddha was staying still by the pond, he happened
to look down between ……」
やがて御釈迦様はその池のふちに御佇みになって、水の面を蔽っている蓮の葉の間から、ふと……
授業の終わるブザーと共に教授は講義の終了を告げ、学生たちはガヤガヤとしゃべりながら立ち上がったり、友人たちと話しはじめる。
特に誰と話す風でもなく淡々と教科書類をカバンにいれている総司を、5列後ろの席からこそこそをしゃべりながら見ている女子学生たちの集団がいた。
「あ、帰るみたい」
「どうする?話しかけてみる?」
「せっかく一緒のクラスになったんだしね。学際のクラス出店とか口実もあるし……」
「ほら、行っちゃうよ!」
「でも〜…、近寄りがたいよね……」
そんな女の子たちを後目に、一人の女子学生が、沖田君!とさわやかに呼びかけ、総司に駆け寄った。
背中まである茶色のきれいなストレートの髪、真白な肌にくっきりとしたアーモンド形の瞳。明るい笑顔で総司に話しかけている。
「あ、あれ……。剣道部のマネージャーの子じゃない?」
「そうそう。知ってる。可愛いって有名だよね」
「……なんか…、こう…、あからさまだよね。まぁ、お似合いだけど」
「付き合ってはいないんでしょ?」
「うん、沖田君いろんな子に告白されてるみたいだけど、どんなに言われても彼女つくんないんだって」
「男の友達とも一緒にいるの、あんまり見たことないよね」
彼女たちはそこで顔を見合わせた。
「なんでいっつも一人なのかな」
「すごいかっこいいし、普通に話す分には愛想いいし優しいし明るいし、剣道だってすごいんでしょ?」
「高2で全国大会優勝だってよ。それで大学では2年連続優勝」
「すごいよね。記者の人とか来てたよね」
やはり自分たちとは違う世界に住んでいることを再認識したのか、彼女たちはお互いに黙り込み、もう総司に話しかけようと言い出す子はいなくなる。そんな彼女たちの視線の先で、剣道部のマネージャーと並んで、大学での密かな有名人である総司は歩き出していた。
「これから部活に行くんでしょ?一緒に行っていい?」
すこし気を使うように上目使いで聞いてくるマネージャーに、総司はにっこりとほほ笑んだ。
「もちろん」
総司の表情に、マネージャーの女の子はほっとしたように頬染めて嬉しそうに笑った。
二人でゆっくりとクラブハウスの方向へ歩きながら、彼女は総司に聞いた。
「沖田君はいつまで部活にでるの?たいていみんな三年生になると就職活動とかでもう全国大会にも出ないみたいだけど?」
「それは早く引退しろって意味かな?」
悪戯っぽく言う総司に、彼女は顔を赤くして怒ったフリをする。
「もう!違うってわかってるくせに!全国大会の優勝者なんだから、来てくれた方が嬉しいに決まってるでしょ!」
「ははっ。ごめんごめん。僕は三年の全国大会にもでようと思ってるんだ。就職も上手く決まったら、できれば四年も出たい」
総司の言葉に、マネージャーは目を見開いた。
総司は確かに毎日毎日真面目に練習に来ているし、剣道に打ち込む姿勢はまっすぐで怖いくらいに真剣だ。しかし……、そういうタイトルに、特にこだわりがあるようには見えなかった。実際優勝者に対するインタビューや取材は真面目に受けるが、トロフィーや賞状は部室の隅で誇りをかぶっている。そのホコリをいつも払ってきれいにしているのは、マネージャーである彼女だけだった。
だから、なんとなく、大会は部活の性質上しょうがなくでているのかと思い込んでいたのだ。
「そうなの……?」
不思議そうな彼女の顔に、総司はにっこりと笑った。
「うん。邪魔だと思うけど、あと2年我慢して?」
そんなこと思ってないって言っているのに!と顔を赤くして怒る彼女に、からかうように謝りながらも、総司はマネージャーの疑問ももっともだと思っていた。
普通は二年生でほぼ引退になる。全国大会に出るともなると、毎日の厳しい練習と集中力が必要になるが、三年と四年にとってその時間と集中力をむけなくてはいけなくなってくるのは、剣道ではなく自分の人生を決める就職活動だ。剣道は空いた時間に体を動かしに来る程度になるのが普通だった。
でも、今の総司にとっては違っていた。
そもそもあの時、剣道もやめるように申し入れがあったのだ。しかし、恩師である近藤が、『剣道までとりあげられたら総司はもう立ち直れなくなってしまう。それだけは見逃してほしい』と頭を下げてくれた。
その近藤に対する恩義……。それも剣道を続けて、全国大会優勝という実績を残す理由の一つではあった。
実際、あの後総司はこれまでにないくらい剣道に打ち込んだ。友人や慣れ親しんだ環境から、すべて切り離された総司にとって、剣道だけが唯一以前とのつながりのあるものだった。朝も昼も夜も……頭を離れないあの出来事、あの女の子からすこしでも気をそらすために、立ち上がれないほど体を動かし稽古をした。もともと才能のあった総司にとって、それだけの集中した練習の結果としての全国大会連覇は、当然の結果だった。
しかし、心の底の底、本当の奥には密かな思いもあったのだ。
全国大会優勝というニュースは、嫌でも彼女の耳に入るだろう。まわりにいる幼馴染や友人は相変わらず剣道を続けているのだし、彼らがあの子の耳に入れないようにしたとしても、自ら少しでも情報を求めようとすれば、すぐに今年の全国大会優勝者の名前はわかるはずだ。
高校生のときは、彼女のために、彼女の目の前で優勝した。
今は……、彼女のためなのか、もうわからない。でも何か彼女に伝わるのではないか、と総司は思っていた。
もう連絡をとることすらかなわない彼女。自分の全国大会優勝というニュースに、彼女がどんなふうに思うのか……。
今も元気でやっていること?
あいかわらず剣道をつづけていること?
それとも……、彼女にいまだに自分を思い出してもらいたがっていること?
思い出したことで、彼女の胸には黒いシミのような思いがひろがるかもしれない。
またあの出来事がフラッシュパックして、つらい思いをするかもしれない。
でも、総司は彼女に覚えていてほしかった。思い出として忘れられるよりは、悪夢としてでも覚えていて欲しい。
自分の、この蜘蛛の巣のような糸に、彼女をいつまでも捕えたままでいたい……。
一面にはりめぐらされた蜘蛛の巣。我ながら呆れるくらい綿密に、細かく。捕えた獲物が決して逃げられないように張った冷たい罠。その真ん中に捕えられてうなだれているのは、透き通るように真白で、触れることすらできないくらい美しい蝶……。
総司の物思いは、マネージャーの女の子の問いかけで破れた。
「沖田君?聞いてた?」
総司ははっとして笑顔で謝る。
「ごめん。ちょっと考え事してた。なんだった?」
「さっきのクラスのレポート。もうやった?」
「ああ〜……、『蜘蛛の糸』の?」
「そうそう、普遍的なメッセージと自分がカンダタだったらどうしたか、について英語で論じよってやつ。来週まででしょ?『普遍的なメッセージ』は……まぁ、『人を蹴落とすとろくなことはないですよ』とかの無難なところで、『自分がカンダタだったら……』については、『みんなで一緒に昇る』とかで……。結局多分みんな一緒になっちゃうのよね。これでAとかとれるかなぁ?沖田君はどうするの?」
彼女の言葉に、総司は片眉を上げて目を見開いた。
「へぇ?それが『無難な答え』なんだ……。わかんなかったよ」
「えー?普通そうじゃない?違うのかな?沖田君はどうしたの?」
「僕?僕は……まだ全然レポートはやってないけど……。『普遍的なメッセージ』は、お釈迦様とかいわゆる『神』といわれている何か大きな存在っていうのはいつも気まぐれに人間を翻弄する、ってことかな」
総司の言葉にマネージャーは目を瞬いた。思いもしなかった方向からの答えに何と答えたらいいかわからず黙り込む。そんな彼女にはかまわず、総司は続ける。
「『自分がカンダタだったら…』は、極楽に行けるかどうか不安になった時点で、自分から蜘蛛の糸を切るね」
「え?自分で?」
マネージャーが驚いて聞き返してきた。総司は平然とうなずく。
「うん。極楽に行けるかも……っていう希望なんかがあるから夢を見ちゃうんだよ。僕だけ元の血の池に落ちて他の奴らが極楽に行くのも癪に障るし、人間に蜘蛛の糸が切れるかどうかは別にして、僕だったら切っちゃうね。なんかそういう話、あったじゃない?どこかの神話でさ……『希望』だけ閉じ込めちゃったって話」
「……パンドラの箱?」
それそれ!、と明るく笑う総司を、マネージャーは知らない人のように眺めた。
彼女にとって総司は、もともと自分のことや昔のことをほとんど話さないミステリアスな存在だったが、こんなことを考えているような人だとは思っていなかったのだ。
何故そんなことを思うようになったのか、彼の中にある闇を初めて垣間見た気がして、彼女は黙り込む。
総司は、つかみどころのない存在だった。話しかければ明るく答えてくれるし、冗談も言って笑ってくれる。けれどさらに踏み込もうとすると、あっさりと身を引かれるのだ。そして、こうして隣で二人で話していていても、彼はどこか遠い人だった。彼の美しい緑の瞳は、自分を見ているのだが、本当の意味では見ていない。瞳に映っているだけ。彼が見ているのは……彼の中の何か。本当の彼はそこにいて、自分の前にはいないのだった。そしてそれは誰に対しても、いつでもそうだ。
総司はすべてに関心がない。
全国大会の優勝についても、だから、先ほどの執着を初めて知って驚いた。剣道に対しては、真面目に真剣に取り組んでいるが、関心があるのか、好きなのか、と言われるととそうではないように見えていたから。彼の中にある闇、爆発的なマグマのような何かをぶつけることができるのが、今は剣道だけのような、そんな感じだった。
マネージャーの彼女自身は、最初は高校全国大会優勝の看板を持って入部してきた彼が苦手だった。誰にも興味を持たず、そのくせ周りの目を引き、魅せる。彼の魅力にあてられた人達がフラフラと彼に近づくと、彼は残酷で美しいほほえみを浮かべたまま拒絶するのだ。彼女はそんな出来事を、もう何度も見てきた。
まるで火に飛び込んでいく蛾みたい……。
拒絶されるのがわかっていて告白する女性たち、飲み会に誘う部員たちを見ながら、マネージャーはそう思っていた。そして……いつのまにか自分も単なる蛾の一匹だったということに気が付く。
気が付くといつも総司の事を考えている。服を買うとき、髪型を変えるとき、総司の視線を勝手に想像して決めている。彼の張り巡らした蜘蛛の糸に気づかないまま囚われて、危険だとわかっているのに少しずつ少しずつ巣の中心で待っている彼のもとへ落ちていく……。
突然何かに髪を引っ張られ、マネージャーは、我に返った。
「痛っ!!」
後ろを見ると、風のせいで髪が木の枝にからまってしまっていた。
「あ〜あ、からまっちゃったね」
総司が楽しそうに笑い、ほどいてあげようと髪と枝の部分へ手をのばす。
「助けて」
マネージャーは、恥ずかしいのと嬉しいのとを隠すために冗談っぽくそう言った。
その言葉が、総司の胸の奥のかすかな記憶をひっかく。
助けて……。
自分の下で、あの子は泣きながら何度もそう言っていた。彼女の涙がしみ込んでしっとりした黒い髪の感触は、まだこの指にしっかりと残っている。揺れ動く潤んだ黒い瞳、悲しそうな顔、助けを呼ぶか細い声……。それを無視して口づけた肌の感触や、抵抗する手首を押さえつける感覚、そして、彼女の……。
自分をこの世から抹殺したくなるほどの自己嫌悪感と、すべてを飲み干してしまいたくなるような暗い情欲が、同時に総司を満たす。
「とれた?」
明るい女性の声で、総司は引きずり込まれそうな闇から覚めた。ふと前を見ると木の枝にからまった茶色の髪。
総司は気を取り直して、髪をほどいてやった。
「とれたよ」
「ありがとう」
恥ずかしそうに言うマネージャーの子に、総司はにっこりとほほ笑んだ。どういたしまして、と言おうとして腕時計のバンド部分に彼女の抜けた長い髪が一本絡まっているのに気付いた。
なにも言わずにそれを抜き取っている総司に、マネージャーが気づく。
「あ、ごめんなさい。髪が……」
謝るマネージャーに、総司は優しく微笑んで、とった髪を風に飛ばした。
「……蜘蛛の糸かと思った」
制服の手首のボタンにからまっていた長い茶色の髪を、総司は皮肉な目で見ながら抜き取り、そう独り言を言った。
さっき帰ってきたばかりの薄暗い自分の家のリビング。高校の制服のままソファに座って自分の髪をかき上げたときに、その髪に気が付いた。
先ほどまで一緒にいた、名前も知らない年上の女性。ボタンに絡みついていた長い髪は、その時の女性のものだった。
大事にしていた彼女を、自分の感情をコントロールできないまま抱こうとして逃げられて。ヤケになっていたからと言って別の女性とあんなことをした自分に呆れる。
しかし、もうどうでもよくなった。
人を何人も斬り、殺し、傷つけてきた自分が、千鶴にだけはそうしないでおこうと思うことがそもそも無理だったのだ。もともと自分にはそういう残酷な性質があり、貪欲な欲望と異常な執着があった。それを千鶴へむけないようにと、手のひらにある壊れやすいガラス玉を壊さないようにと細心の注意をはらってきて、そして……。
耐え切れず自分から壁に叩きつけた。
屋上へと続く階段で、自分の腕からすり抜けて逃げて行った彼女の暖かい柔らかさを、総司はまだ覚えていた。彼女の泣き顔、逃げていく背中、翻ったスカートが蝶の羽のようにひらめいた。
そして、どんどん自分の心臓を侵食していく暗い冷たさ
背後からひたひたと、冷たい水が自分を浸していく。
この感覚には覚えがある。彼女と出会う前、中学時代はいつもこの冷たい水に頭まで浸かっていた。
こんな冷たい世界にいたくないと思う。彼女に救い出してほしいと。暖めて欲しいと思う。しかし、自分にはこの冷たい世界の方があっている気もする。暖かい彼女の世界に足を踏み入れていた少しの間、自分はいつもおびえていた。いつこの暖かい世界から追い出されるのか、身の程をわきまえろといつまたあの冷たい世界につきおとされるのかびくびくして過ごしていた。
彼女に暖めてもらう快感にひたりながらも、心から安心して、あの暖かな世界にいたことはなかったように思う。
総司は持ち上げていた髪を見て、苦笑をした。
彼女の髪とは違う、長く茶色の髪。蜘蛛の糸だと勘違いしたそれは、総司が自分から吐いた糸だったのかもしれない。あの子を捕まえて捉えてゆっくりと貪るために、自分の冷たい世界に引きずり込むために周到にあの子の周りに張り巡らせた罠。
総司はその髪を床に落として天井を見上げた。
でも、どっちにしろもう終わりだ。
彼女には逃げられた。嫌われて、泣かれて。
総司は髪をかき上げ、そのまま髪を掴む。後悔が胸をいらつかせる。
もうやり直しはできないのか。彼女に謝って、もう二度とあんなことはしないと誓って、許しを請う。
でもそれももう無理だ。だって他の女を抱いてしまった。こんな事実を知ったら、彼女は傷つくだろう。彼女を傷つけた自分も許せない。
彼女の前で、きれいなままでいようと努力してきたことをすべて自ら壊してしまった。
何かを成し遂げたくて、誇れる自分になりたくて、我ながら真面目に努力してきたこと全て。
総司は、こんな自分に心底嫌気がさした。
前世を思い出し、心と体のアンバランスに悩まされ、前世での彼女との関係と現世でのギャップに苦しみ……。
それでも、自分でコントロールできると思っていた。彼女の傷を癒すために、自分よりもまず彼女を、と。けれども結局まだ自分は彼女に甘えて彼女を傷つけてしまった。
できることなら時間を戻してもう一度やり直したい。あの屋上へと続く階段から。
いや、それでも時間の問題で、無理だったのかもしれない。あの場所あの時間は切りぬけることができても、いつかまた別のきっかけで爆発してしまっていたのかもしれない。だってもう自分は限界に近かった。体中の細胞が、前世での彼女を求めていた。現世の、まだ若く一緒に居た経験もほとんどない彼女に、あのころの包み込むようなものと同じ愛が欲しいと切望していた。心も体も、すべてひとかけらもあますことなく自分に向けて欲しかった。
そんなことは無理だと、頭のどこかでわかっている。この平和な現代では、そんなに身も心もすべて奪い尽くすような思いは必要はないのだ。それでも過去の記憶と感情を持っている自分は、それを彼女に求めてしまう。
そして、またいつか、どこかで爆発してしまうのだろう。
自分の執着の強さに、総司は苦笑した。執着すればするほどうまく行かなくなるのはわかっている。だからいつもは我慢している。必死に。けれども何かの拍子に……、彼女が他の男と楽しそうに笑っていたり、危ない目にあったりすると、理性のタガが外れ暴走する。
どうすれば、彼女が幸せなままで、うまくやっていけるのか総司にはわからなかった。
いっそのこと蜘蛛のように彼女をすべて食べつくしてしまえたら、思い悩まなくても済むのかな……。
暗い部屋の中で、総司がぼんやりそんなことを思った時、マンションエントランスでのチャイムがなった。
なんとなく予感のようなものがあり、総司はゆっくりと振り返り、壁にかかっているモニターを見る。
そこには、先ほどから何度も思いうかべていた愛しいあの子の姿が映っていた。
……ほら、来た。ちょうちょだ……。