公瑾はそのままゆっくりと頭を下げていった。
彼の髪が、花の腹の上を滑っていく。その微かな感触だけで、花は「んっ」と目を閉じた。
公瑾の大きな両手が花の太ももを持ち、大きく広げるのを感じて、花ははっとした。
「あっ!い、いや!」
「これは今夜が初めてですが、恥ずかしがることはないのですよ」
公瑾は軽々と花を押さえつけて唇をどんどん下げていく。
「公瑾さん、ダメです、そんなとこ……え、ほんとに?」
「ダメじゃないです。とてもきれいですよ」
そういうと、公瑾の繊細で長い指が、そっと敏感な花びらをこすった。上へゆっくりと撫で上げ、また下へなでおろす。そして戯れのように浅く潤みにくぐらせるとすくいとったとろりとした液体を広げるように、再度優しく花びらをなでた。
そしてその先端にやさしくこすりつけると、触るか触らないかの微かな接触で細かく撫で上げる。
「あっああっ!!」
ビリビリとした電流が公瑾の触れたあたりから背筋を駆け上り、花は思わず叫び声をあげてしまった。昨日は初めてのことでいっぱいいっぱいで、そして何が起こるのか怖くて感覚が鈍くなっていたようで、ここまで強烈な感覚は花は経験していない。
公瑾は花の反応を見ながら何度も何度も優しくなでる。そのたびに花は首を左右に振り、「あっ」「あっ」「い、いやっ」と小さく声をあげ脚をよじらせる。
真ん中の潤みからはしたたるような液体があふれ出ていた。
公瑾は目を細めると、唇をその小さな豆のようなものへと近づける。かぶっている皮を優しく剥いて、唇を尖らせるとちゅっと口づけた。
「ああっんんっ、は……」
花の声が甘くなる。
公瑾はそのまま豆を口に含むと、舌先で何度も何度も回すように愛撫をした。
「あっ…い、いやっ!あっだめっほんとに……あっあっ!」
強引に一番敏感な部分を何度も愛撫され、花はあっという間に絶頂に達してしまった。
裏返った声と跳ねた腰、そしてそのあと何度かの痙攣で、公瑾にも花が達したことがわかる。
「は……あ……」
まだ慣れていない快楽に、花がぼんやりと敷布の上に体を投げ出している。
公瑾は満足そうにそれを眺めながら自分の服を脱いだ。
そして花の腰のあたりにかろうじてとどまっている帯を解き、すっかりはだけた服から腕を抜かせる。
まだ全体的に細く華奢だが、女性らしい曲線を描いている花の体。
花はぐったりとして公瑾にされるがままだった。
「いきますよ」
小さくそういうと、公瑾は彼女の脚を広げて自分の腰を進めた。花はわかっているのかいないのか、ぼんやりと公瑾をするのを見ているだけだ。
先端をあてると、そのあたたかさに公瑾の腰がしびれたようになった。
公瑾は眉間にしわを寄せると、思いっきり突き挿れたい欲望を押さえて、ゆっくりと中へと埋めていく。
「……ん……」
花はやはり少し痛いのか、顔をしかめたが止めることはなく公瑾を見ていた。
花の視線を感じながら、公瑾はことさらゆっくりと、この瞬間を楽しみたくて、ゆっくりとゆっくりと進む。花の中は一度達したせいですっかり柔らかくとろけていた。だがまだ処女の時の固さも残っている。
途中で狭くなっている場所を、ぐっとせめると、花の口から小さな喘ぎ声が聞こえる。
「……痛い、ですか?」
聞いた自分の声が吐く息で荒くなっていることに、公瑾は気づいた。暗闇の中で花が首を横に振るのが見える。
頬が紅潮して目が潤み、髪が乱れて……いつもの天真爛漫な笑顔や、意志の強い視線とは真逆で、それがまた公瑾の気持ちを煽った。
公瑾は少しづつ腰を揺らすようにして奥に入っていく。
ようやくすべてが収まると、公瑾は体を倒して花を抱きしめた。裸の肌と肌がふれあい、気持ちがいい。花の細い腕が自分の首に回されるのを感じて、公瑾の気持ちは熱くなった。
彼女をいとおしいと思う。大事にしたいと。
情事の最中にそんな風に相手のことまで考えることは公瑾には初めてだった。
美周郎と呼ばれそれなりに……いやかなりもてた。
若いころはそれこそかなり遊んだと思う。女性に対する扱い方も、器用な公瑾はかなりうまいものだと自負している。
だが今は、そんな小手先のテクニックは吹っ飛んでいた。
手が震え心臓が高鳴る。頭が真っ白になり、輝くような花の肌にあらがいようもなく引き寄せられる。
自分の欲望を満たすだけではなく、彼女も満たしたいのだ。
愛したい。
そうだ、私は彼女を愛したいのだ――
彼女の顔を見つめて口づける。そして舌と同じ動きでゆっくりと腰を動かし始めた。
口づけの合間から彼女の口から押えようのない喘ぎ声が漏れるのを感じる。
公瑾が強く動くと叫ぶように、深くこすりあげると甲高く、彼女の感じる場所を探りながら公瑾は何度も何度も腰を揺らした。
花の喘ぎがだんだんとせわしなくなり、公瑾の問いかけにもこたえなくなる。
公瑾は彼女の体の中のリズムを、触れている肌、感覚の先端、表情、声、全てから把握しそれに合わせて何度も何度も腰を動かした。
「あっ……ああああっ!」
とうとう花は最後に引き延ばすような声をあげて、のけぞった。
強く公瑾自身もしめつけられて、公瑾は唇をかんで耐えた。
びくびくと中も痙攣しているが、公瑾は構わず同じリズムで動く。
「こ、公瑾さん!あっ」
いった直後で敏感になっているだろうが、ここでさらに刺激を与えると、もう一段深い快感を感じることができることを公瑾は体験から知っていた。女人自身はいやがるが、それは得体のしれない大きすぎる快楽に対する恐怖だけで、それを取り去ればすばらしい楽園があることも。
公瑾は自分自身の解き放ちたい気持ちを抑え、彼女を体で押さえつけるようにして腰をこすりつけた。
彼女に快楽の極限を感じてほしい。それを自分が感じさせたい。
彼女の感覚の全てを自分がコントロールして、彼女の全身を手に入れたいのだ。
「あっああ、また……また…あっ」
花の取り乱した様子がいとおしい。
「ああ……花……花……」
うわごとのように公瑾の口からも声が漏れた。腰から広がる思い快感が背筋へと延び公瑾を恍惚とさせる。
しかし公瑾ももうそろそろ限界が近い。一度すべてを放出しても彼女が相手だとまたすぐに欲望がもたげてしまうのは昨夜でわかっている。
公瑾は腰の動きを速め、まっすぐに彼女が先に浸っている快楽へと飛び込んだ。
そして長い夜は続いた
※花ちゃんがんばれーー!