【Blue Rose 4−3】

『青は藍より出でて藍より青し』の続編です。前作を読まないと話がわからないと思います(スイマセン……)。
作者は剣道、その他について未経験者です。内容については信用せずフィクションとしてお楽しみください。










 
 


 


 自分の腕の中で、力尽きたように昏々と眠る千鶴を、僕は見つめていた。触れ合う裸の肌と肌が心地いい。浴衣を着せてあげないと風邪をひいちゃうだろうとは思ったけど、あと少しだけ彼女のなめらかな素肌を体全体で感じていたくて、僕はしばらくそのままでいた。

寝返りをうつ気力も無いほど、彼女はぐったりとしている。それをみて、僕は満足感を覚えるけど、同時にすこし後ろめたかった。

 初めてだから優しく……なんて思っていたのは最初だけで。
最後は思うまま貪り、かなりの無茶をしてしまった。

女の子になったことがないからわからないけど、きっと明日つらいんじゃないだろうか。


……明日はどうなっているんだろう。千鶴と『千鶴ちゃん』は。
『千鶴ちゃん』は今夜のことをどこまで覚えているのかな。
妻だった千鶴に、つけこむように『千鶴ちゃん』まで抱いてしまった。初めても、勝手にもらっちゃったし。いつかは僕がもらうものだったから、いいのかもしれないけど、『千鶴ちゃん』はどう思うだろう。

 

 でも、あの泣きながら縋りついてきた千鶴を、抱かずにすますことはできなかったんだ。


あんなに傷ついて、誰にも癒してもらえないでいたあの可愛そうな愛しい妻を、こうやって慰めて抱くことができたのは、誰の気まぐれかわからないが心から感謝したい。
あんなに傷つけたのは僕。
最後の最後まで、僕を好きになるように、夢中でいてくれるように、彼女を愛した。果たせないとわかっていて、『幸せな約束』もたくさんした。
僕を愛せば愛すほど、残された時がつらいように。そのつらさが彼女の魂に深い深い傷をつくるように。


 でも僕はその傷を癒したかった。
 ずっとずっと、僕はこれがしたかったんだ。
 記憶がなく荒れていた頃も。
 千鶴と出会って好きになった後も。


昔一人にしてしまった愛しい人の、僕がつけた傷を拭い去りたかった。


記憶がなかったころはそんなことは当然わからなくて、何故かいらいらして、日々の生活が虚しくて、けんかで憂さをはらしてた。
『千鶴ちゃん』を好きになった後は『千鶴ちゃん』を幸せにすることで、過去の千鶴の傷も癒してあげたかった。

 

 千鶴を幸せにするのは僕だから。

 

二度とやり直せないと思っていた過去の彼女の傷を、違う形ですこしでも癒したかった。もちろん今の彼女の幸せも守りたい。

 

 僕は裸のままの千鶴をぎゅっと抱きしめた。そのまま彼女のうなじに顔を埋める。

 

 僕が、幸せにする。千鶴も、千鶴ちゃんも。

 

 僕は心に強く誓って瞳を閉じた。














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