【Blue Rose 10】

『青は藍より出でて藍より青し』の続編です。前作を読まないと話がわからないと思います(スイマセン……)。
作者は剣道、その他について未経験者です。内容については信用せずフィクションとしてお楽しみください。











  あんなセックス、初めてだったな……。

 あ、いきなりセックスとか言って、ひいた?え?ひいてない?……ふーん、結構好きものなんだね。僕ならかなりひくけどな。まぁひいてないならいいや。
あんなセックス、って要は『千鶴ちゃん』との初エッチのことだけどね。『千鶴』とのエッチは今も昔もとってもよかったけど、『千鶴ちゃん』とのは……。現実の重みというか、リアリティというか……。とにかく現世に生まれた『僕』からしたらすごく衝撃的だった。『千鶴』とのエッチはどうしても過去の僕の目線(女よりも志に命をかけてた心持ち、とかさ)が入っちゃうからね。

 同年代の男たちの中では経験の数は多い方だと思うけど、あんなのは経験したことなかったんだ。
実は、セックス、っていうのもエッチっていうのもしっくりこない。ぴったりくるのは、英語でいうメイキングラブ−−−愛を交わす。
外国の小説とかでこの言葉がでてくると、これまでは自己欺瞞的な、自己陶酔的なものを感じて皮肉な目で読んでたけど、でも千鶴ちゃんとのあの経験は、この言葉がびったりくるように感じるんだ。
こんなこと千鶴ちゃんに言ったらまた、乙女ですね……って言われそうだから言わないけど。
あの後千鶴ちゃんは、感動して泣いたんだって言ってたけど、僕はそれもすごくよくわかった。

僕も感動したから。

 さすがに泣きはしなかったけどね。でも本当に心が揺さぶられた。体だけじゃなく心も、魂さえも重ねて、一つに柔らかく溶け合って、心の隅々まで暖かくて満たされた思いだった。好きな子とエッチをするってのはこんな幸せなことだったんだね。あ、ちなみに僕は普通に『好き』なんじゃなくて『そーとー好き』なんだけどね。君たちの『好き』と一緒にしないでね。

 千鶴ちゃんは、ほんとに可愛かった。可愛いだけじゃなくて強かった。勝手に彼女の気持ちを推測して自己完結してた僕を叱り飛ばして、どうしても彼女を失ってしまいそうな不安が消えない僕を優しく包んで、自分から『触ってほしいし触りたい』って言ってくれたんだ。君たちこんなことバージンで言える?恥ずかしそうにして男の言うがままになってるだけじゃない?少なくとも僕の今までの経験では、女の子たちはみんなそうだった。口説いて落として抱くのは男で。女の子はついてくるだけ。

 あのおとなしそうな外見と、強い芯とのギャップが、また萌えるんだよね〜。
あ、ノロけてた?ごめんごめん。つい本音がね。根が素直だからさ。

 体もすごく敏感で、声もかわいくて、すがる様な頼りない潤んだ目で僕を見つめるもんだから、煽られて煽られて歯止めが利かなくなっちゃった。小さいけど僕のてのひらにちょうどおさまる柔らかい胸。両手をひろげれば掴んでしまえるんじゃないかと思えるくらい細い華奢な腰。そして……柔らかく溶けていく千鶴ちゃんのナカ……。

 あ、ヤバ…。思い出しただけで勃っちゃった。

 ちなみに今は昼の3時。場所は学校の図書室。僕は一人で千鶴ちゃんが出席してる委員会が終わるのを待ってる。
僕はどちらかというと目立つ方で、実は今も図書室にいる女の子たち3人くらいが、ちらちらと僕を見てる。きっとこんなに涼しげな顔をしてる僕が、彼女とのエッチを考えて勃っちゃってるなんて思いもしないだろうな〜。
そんなことを思いながら、僕を見てる女生徒のうちの一人を見てにっこりと笑うと、その子は顔を真っ赤にして目をそらした。

 それにしても思い出しただけでこんなになるなんて、これも初めてだなぁ。初めてセックスってものを経験した時もここまでじゃなかったし。
はっきり言って、もう夢中。
溺れてる。
千鶴ちゃんとの初エッチの後も、勉強っていう口実で彼女を僕の部屋に誘い込んで何回かエッチ……いや、愛を交わしたけど、毎回毎回ほんとに感激しちゃうんだ。終わった後の余韻もいいね。これも僕には初めての経験。これまでは終わったら、妙に白けた気持ちになって、いかにしてめんどくさいことなく速やかに帰ってもらうかについて考えを巡らせてたものだけど、千鶴ちゃんとの事後は、もう永遠に続いてほしいって思うくらい甘々なんだ。

 あの恥ずかしがり屋の千鶴ちゃんも、ピロートークの時は恥ずかしがらずに甘い言葉を言ってくれるし、僕もたぶんもう恥ずかしいくらいにデレてると思う。

 困るのは最近そのデレが、事後以外の時にまで、浸食してきてしまっていること。
顔の締りがどんどん緩くなってきてる気がするんだ。例えば、一か月前くらいにカップルの一大イベント、バレンタインデーがあってね。僕はさんざん千鶴ちゃんに頼んだんだ。僕も他の子からチョコもらわないから、君も他の奴に義理でもあげないで、って。なのに千鶴ちゃんが困った顔をして上目づかいに僕を見て、『でも、平助くんは小さいころから毎年あげてるし、斎藤先輩には沖田先輩とのことで本当にお世話になったし……』って言われると、つい許しちゃった僕がいたんだよね……。結局その二人だけじゃなくて、薫や千鶴のお父さんはもとより、土方さんや左之さん、新八さんにまであげちゃってたみたいだけど、それで千鶴ちゃんが幸せならいっか、なんて思っちゃったりして……。

いったい僕はどうなっちゃったんでしょうか?っていうか、これ、ほんとに僕?まぁもちろんそれのお詫びとして、チョコブラス千鶴ちゃんもたっぷりいただいたんだけどさ。

 さらに言うと、僕があんまり彼女に夢中になって勉強も剣道も投げ出してるんで、彼女からエッチ禁止令がでちゃったんだ。勘弁してよ〜、って感じだったんだけど、千鶴ちゃんが『沖田先輩のためだと思うんです。私も我慢しますから……。沖田先輩も大学に合格するまで…。』ってうるうるした瞳で見上げられて……。

『私も我慢しますから』ってどう思う?相当な殺し文句じゃない!?いっつも結構リアリストで恥ずかしがり屋の千鶴ちゃんがこんなこというなんてさぁ……。すごくない…!?
 で、結局呑んじゃったんだけどね、エッチ禁止令。でも追加条項をつくってもらうつもり。例えば模試でA判定がでたら、ご褒美あり、とかさ。あ、なんだか楽しくなってきたな。モチベーション確かにあがるね、コレ。

 

 ってまあ、こんな感じで楽しくやってるよ僕達。
これまで長々と僕達の話につきあってくれてありがとね。


え?僕の魂の傷?

あぁ……。
多分それは天女の羽衣。いつ彼女を失うかと怯えて不安定になる男の話。
でもこれは傷なのかなぁ?一君に言われて気が付いて。たぶん傷だとしたらこれだと思う。千鶴ちゃんが傷つくとか、ほかの男にとられそうだとか、とにかく彼女を失くすかも、と少しでも思うと、どうも僕は不安定になるみたい。でももう僕は癒してもらう気もない。それよりはせっかく手に入れた羽衣を絶対に隠し通してあらゆる手を使って彼女を傍においておくように全力をつくすつもり。
彼女を幸せにすることで。

 天女はきっとあんまり幸せじゃなかったんじゃないかな。なんとなく。きっとあの天女の羽衣の男は釣った魚にエサはやらないタイプとかでさ。天女は子供はいても日々の生活が不満だったんだよ、きっと。
僕はそんなふうには千鶴ちゃんをしないから、だから、千鶴ちゃんにはずっと僕のそばにいてもらうつもり。そういう意味ではこれからまた不安定になることがあるかもしれないけどね。千鶴ちゃんとか僕の周りの人(おもに土方さんとか一君とか平助とか?)はキレてる僕に困るみたいだけど、僕にしてみれば不安定になるのはとーぜんの話。大好きな彼女を失いそうになって平静でいられる奴の方が不思議だよ。まぁ、僕のキレ具合は普通じゃないみたいだけど。

 でも、もう千鶴ちゃんなら大丈夫なんじゃないかな。最近すっごく僕を上手に転がしてるし。一応気づいてるんだけどね、あ〜転がされてるなぁって。でもそれも心地いいんだよね。


 要は千鶴ちゃんが可愛いってこと。


じゃあそろそろ本当に終わろっか。もうすぐ千鶴ちゃんも来る頃だし。

 

 


今、僕は2年生で。あと2週間もすれば3年生。千鶴ちゃんは2年生になる。

 

こうやってこれからも、当然のように年を二人で重ねて。

笑って、手をつないで、怒って、ケンカして、仲直りして、キスをして……。

 

 


そうして二人で歩いていくんだ-------。


ずっと、ずっと……。

 

 

 

 

 

 


おまけ

 

そういえばさ、ホワイトデー。
一君、千鶴ちゃんからもらった義理チョコのお礼に何をあげたと思う?

なんと、青いバラ一輪。

青っていうよりは紫に近かったけど。なんでも日本のアルコールメーカーが世界初で青いバラの作成に成功したんだって。あとから色をつけたんじゃないよ。ほんとに最初から。遺伝子操作をしてさ。

千鶴ちゃんは意味がわからなかったみたいだけど、すごくきれいなバラで、とっても感激してた。
意味がわかる僕も、なんだか感動しちゃってさ。


青いバラの花ことばは、『夢 かなう』。

 


ほんとにおいしいとこだけ持ってくよね、一君って。






















【終】 

長い間、応援励まし感想等々……本当にありがとうございました!
いつも大変うれしく拝見させていただいております。
BLUE ROSE これで最終回です。お付き合いいただいて、どうもありがとうございました!


 あとがき  





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