お化け屋敷でデートです。
■土方さん
「きゃあっっ!」
土方は、悲鳴をあげて腕に縋り付いてくる千鶴の肩を抱く。
「こんなもん怖くねーだろ?作りもんだよ」
「でっでもっ」
千鶴がうるうるした瞳で見上げた瞬間、右前方からボロボロの甲冑を着た落ち武者が飛び出てきた。
「きゃーーーーー!!!」
「なんだよ、脅かすんじゃねーよ!!」
土方は突然出てきたお化けを睨んで文句を言う。
「ったく…!『怖い』っつーより『びっくり』だろ、こりゃ。じわじわとこう…腹の底からくる恐怖みてーなもん……うおぉぉっ!」
ぶつぶつ文句を言っている最中に、肩をゾンビに叩かれて、飛び上がった土方であった。
(意外にお化け苦手だったりしたら可愛いですよね)
■沖田さん
「きゃあっっ!」
総司は、悲鳴をあげて腕に縋り付いてくる千鶴の肩を抱いた。
「あははは!何そんなに怖がってるのさー。すごい顔っ!あはははっ」
「もう!総司さん!ほんとに怖いんですっ」
千鶴が半泣きになりながら文句を言う。
「だから手をつないであげてるでしょー?僕がいるから大丈夫だよ……って千鶴ちゃん!!後ろ!」
「ぎゃあああああああっ!!!」
総司が千鶴の後ろを指差して真顔で叫んだため、千鶴は総司の胸に飛び込んでしがみついた。
「なっ何!?何がいるんですか?後ろにっ」
総司は胸の中にいる千鶴を抱きしめる。
「なんにもいないよ〜」
「そっ総司さん!!」
「あっ千鶴!あれ見て!」
「いやぁぁぁぁぁっ!!!」
「あはははははっ千鶴ちゃん!料金の二倍怖がれてお得だねっ」
(おっ鬼……!!)
(これもお約束ですね(笑))
■斎藤さん
「きゃあっっ!」
斎藤は、悲鳴をあげて腕に縋り付いてくる千鶴の手を、ポンポンと優しく叩いた。そして落ち着いた声で千鶴に言う。
「千鶴。次は右前方、落ち武者だ。今しゃがんで待機している」
千鶴がこわごわと右前方、下の方を見ると、確かに何か物体がうずくまっているのが見える。
「落ち武者の後は、多分左側のゾンビが背中からくる手順になっているのだと思う」
斎藤の指差す先を見ると、左側の一見壁にしか見えない所に隙間があり、斎藤の言葉に動揺したようにビクリと動くのが見えた。
「心の準備ができていれば、それほど怖くはないだろう?」
「は、はい。ありがとうございます」
「手はつないでいてやろう。ゆっくりといくぞ」
「はっはい!」
二人が通り過ぎた後、落ち武者とゾンビが「やりにくいな」と愚痴りあっていたのだった。
(斎藤さんは非現実的な物は全く怖くなさそうですね。UFOとかに遭遇したらどうするのかな……(笑))
■平助君
「きゃあっっ!」
平助は、悲鳴をあげて腕に縋り付いてくる千鶴に自分からも抱きついた。
「うおおっ!今の見た!?すっげー!!」
二人で抱き合いながら、暗い道をこわごわと進む。
右前方から、落ち武者らしきものが「ううう〜!!」とうめき声をあげながら襲い掛かってきた。
「いやぁぁ!」
「うおー!ビビったー!!今のはビビったー!!」
と、後ろからゾンビが平助の肩を掴む。
「ぎゃあああ!」
「きゃああああ!」
悲鳴をあげて、平助と千鶴は手をつないでそこを走り抜ける。
二人が通り過ぎた後、落ち武者とゾンビは「さっきのカップル、両方ともすっげー楽しんでたな」と話していた。
(自分も怖がりながらも庇ってくれそうですよね)
■左之さん
「きゃあっっ!」
左之は、悲鳴をあげて腕に縋り付いてくる千鶴をしっかりと抱きしめた。
「ほら、抱きついてろ。しっかりしがみついとけ。怖かったら目ぇつぶってていいからよ」
「はい〜」
右前方から飛び出てきた落ち武者には目もくれず、左之は自分の胸の中で震えている千鶴の髪を、愛おしそうに撫でる。
「ほんとにお前は……かわいいなぁ。お、シャンプー変えたか?いい匂いがする」
後ろから来たゾンビもスルーして、左之は甘い言葉をささやいていた。
「お化け屋敷っつーのはこのためにあるんだからよ。思う存分抱きついてろよ」
「違うと思う……」
二人が通り過ぎた後、落ち武者とゾンビはそこはかとなく虚しくなりながら、そう思ったのだった。
(左之さんは、お化けが怖い……というより興味がなさそうですよね。どうでもいいというか)
■このネタは珠季様からいただいたものです。ありがとうございました〜!!
ネタをいただいたのが初夏で、書いたのが秋……。珠季様、遅くなってスイマセンでした。すっかり季節はずれに(泣)
皆様が一緒にお化け屋敷に行きたい隊士は誰ですか?
RRAは……お化け屋敷がほんっっとに嫌いなので、左之さんです!素敵!
☆皆様のお好みのお化け屋敷隊士☆
土方さん……1人
沖田さん……0人
斎藤さん……2人
平助君 ……3人
左之さん……2人
戻る