エロDVDを、そんなもの見る人は変態!って信じ切ってる千鶴ちゃんに発見された沖田先輩

※CPは特になく誰オチというわけでもなく、オールというわけでもありません。(土方さんとちー様がでてこないので)
学パロ設定ですがSSLでもないです。ちょっと…内容がアレなんで(エロDVD)苦手な人はご注意ください。濡れ場はまったくありません。












「あ、それ一君のだから」

さらっと言った総司に、部屋にいた皆(平助、左之、新八)が『え!?』という顔をして彼を見た。

「でも……沖田先輩のカバンの中にありましたけど……」
千鶴は、先ほど総司から『とって〜』と頼まれたジャンプと一緒に、総司のカバンの中からでてきたDVD『セーラー服を脱がせて☆』を手に持ったまま呟いた。DVDの表紙には、お前絶対二十歳超えてるだろ!というようなお色気ムンムンだけど清純な化粧と髪型の女性が、半分脱ぎ掛けた制服姿でこちらを上目使いに見つめている。
「これいいから見てみろって一君におしつけられちゃってさ〜。でも僕にはそんなの見る趣味はないから困って、今日返そうと思って持ってきてたんだよね」


(いやそれ逆だし)
平助が心の中でつっこんだ。あれは総司のお気に入りのシリーズで平助も結構好きなDVDなのだ、実は。興味がないと言い切って男同士の話に入ってこない一が癪で、以前総司が無理矢理一に押し付けた。一はもう争うのも面倒だと思ったのか何も言わずに受け取りしばらく放置して今日返してきたのだった。それはこの部屋にいる男全員が知っている。
「斎藤先輩が……こんなの見るんでしょうか…?」
千鶴は総司の言葉に半信半疑で、DVDを見ながら呟いた。左之がゴホンと咳払いをして口を開く。
「いや、まぁ……千鶴ちゃん確かアニキがいたよな?アニキはこういうの見ねぇのか?」
「薫ですか?薫はこんなの見ないですよ!」
驚いて否定した千鶴に、左之と新八、平助は顔を見合わせた。
普通の男がエロDVDを全く見ないとは考えられない。よっぽど隠すのがうまいかDVDのように形に残るものではないもので見ているのかもしれない。だが、今はそれは問題ではない。
問題は、今この部屋にいる唯一の女の子である千鶴が、エロDVDを『こんなの』と言い切ったことだ。つまりこのことは、千鶴はエロDVDを見る男は変態だと、そう思っていることを表している。
ここで、『いや男は普通こういうのを見るもんなんだよ。そんな変態チックな内容でもないしこれくらいはよくあることなんだから』と言おうものならその男が変態認定されてしまう。さらにその言葉に皆が同調してくれればまだ救われるものの、裏切りそうな面々ばかりだ。
左之はそう考えながら周りの男たちの、心なしか緊張した顔を見渡した。
平助は…千鶴の男兄弟と言っていいくらい仲のいい幼馴染だ。平助自身も千鶴の事をとてもかわいがっているし、彼女にそんな目で見られたくないだろう。
新八は…こいつはもうあからさまに悪気もなく裏切ることは目に見えている。そして『皆見るぜ』と言った左之のことを一緒になって『な!不潔だろ〜!?女にもててるのにこんなに変態なんだぜ?』と調子よく千鶴の方に着くに違いない。
そして総司だ。これはもう先程しゃあしゃあとあのDVDを一のものにしたことではっきりとどちらにつくかわかる。と、いうより今視線で左之にあからまさなプレッシャーをかけていた、『言ったら殺す』と。

左之は一に心の中で謝り、力なく笑った。
「そうだよな、こんなの見ないよな……」




その時キッチンの方から一の声がした。
「お茶の用意ができた。誰か手伝いに来てくれ」
ここは一の家で、一がキッチンに立って皆にコーヒーやら紅茶やらを作ってくれていたのだ。
平助が気まずい場所から離れたいとでもいうように、ぱっと立ち上がった。
「俺手伝ってくるから」
そう言ってキッチンへと行く。

キッチンでは斎藤が人数分のお茶をお盆に乗せている所だった。
「平助か。そっちのお盆をはこんでもらえるか」
「あ、ああ…うん。お茶用意ししてくれてありがとう」
「たいしたことではない」
にっこりとほほ笑んだ一の顔を見て、平助の良心は激しくうずいた。カチャカチャと食器の音をさせてお盆を持ち上げようとしている一に、平助はおずおずと聞いた。
「一君さ……総司にDVD……」
平助がそこまで行った時に斎藤が、ああ、と言ってうなずいた。
「そういえば貸したな。あれがどうかしたか?」
「貸した?返したんじゃなくて?」
あれ?総司が言ったとおりあのエロDVDはもしかして一くんのだったっけ?平助が目を見開くと、斎藤は不思議そうに首をかしげた。
「以前総司にNHKの『クローズアップ現代』をDVDにとって貸したが?そのことではないのか?」
平助はがっくりと肩を落として、ハハハ…と笑った。一にとってはエロDVDなど貸し借りの数には入っておらず総司に返したことも忘れているらしい。それよりも先日貸したお堅いDVDの方のことを覚えているようだ。

一君、ほんとにいいやつだよな……

家に押しかけてくる男たちに文句も言わず、お茶だってだしてくれて、時々夕飯もつくってくれるし、社会問題にうとい総司のために『クローズアップ現代』をDVDにとって貸してあげているのだ。
こんなにいい奴なのに、今リビングでは最低の変態になってしまっている。
これは友人として何か言ってあげるのが当然なのではないだろうか…。
思い悩んでいる平助には構わず、斎藤は自分の分のお盆を持つとスタスタとリビングへと歩いて行ってしまった。
平助が慌てて自分のお盆を持ってあたふたと後についていくと、リビングでの総司と一の会話が聞こえてきた。

「一君、借りてたDVD返すからね」
総司の言葉に、一はお茶をローテーブルに置きながらうなずいた。
「ああ、あのシリーズは面白いだろう?気に入ったのなら続きを貸すが?」
ぶっとコーヒーを噴き出す左之にティッシュを渡して、総司はにっこりとほほ笑んだ。
「いや、もういいよ。結局借りてたDVDも見なかったんだ、実は」
一は総司の顔を見た。
「そうか…あれは趣味に合わなかったか?他のシリーズもあるから言ってくれればどれでも……どうした千鶴?帰るのか?」
「は、はい…ちょっと用事を思い出して。せっかくお茶を淹れていただいたのにスイマセン」
一は優しく微笑んだ。
「いや、構わない。千鶴も興味があるようならあのDVDを貸すぞ?」
途端に千鶴はガタン!と立ち上がる。
「けっけけけけ結構です。じゃあ!」
そう言うと風のように帰っていってしまった千鶴を見ながら、一は不思議そうに呟いた。
「何か用でもあったのだろうか……」

後に残されたのは、にこにことほほ笑んでいる総司と、良心の呵責に耐えかねて心臓を抑えてうずくまっている平助と左之と新八の姿だった。







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